隊長の屋外な日々

 

 

2月5.6日 信越&白馬バックカントリー。


いやぁ・・・ほったらかしにもほどがあります。
しかし、このままほったらかしておくワケにもいきません。いや、まあ・・・なんとなく。
というか、世の中、地球規模の温暖化も手伝ってか、というか、真夏のご陽気で、今さらハイシーズンのディープパウダースノーの話を始めるには、いささか有り余る抵抗感ではございますが、いやしかし、意外と涼しくていいかもしれません。(笑)

さあ、頑張って、現在に追いつくぞ〜。(2005年6月17日、20:23)

 

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2月4日(金)の夜22時。
西宮のジャパンの駐車場で、ポル氏と落ち合った。
これから一路、信州まで、片道約500キロの長丁場である。
雪もたっぷり積もり、ブッシュもすっかり埋まったに違いない。
そして、そこには、僕が日本でもトップクラスと信じて疑わない、上質のパウダースノーがたんまり積もっているはずである。
そう。いよいよ本格的バックカントリーシーズン開幕なのだ。
いや、業界的にはとっくに開幕しているのだが、信州ともなると、なかなか行くタイミングが難しく、結局、2月に入ってからになってしまったのだが、 まあ、満を侍して。とでも申しますか。

で、今年のパートナーは、ポル氏である。
思えば去年、一緒に白馬の入門ツアーで、初バックカントリーを体験し、その後僕から『いいでしょう!?バックカントリー!!』『来シーズンは行きますよ〜!!』と、散々洗脳するかのごとくプッシュされた・・・からではないと思うが、嬉しいことに、彼も、このバックカントリーを今シーズンの目玉にしているようで、今シーズン始めには、バックカントリーを十分に意識した最新式のバートンのボード、ブーツ、ウエアーを新調。
本人は、長距離のハイクアップや、パウダーランの不安も抱えていると言いつつも、今日に向け体重も5キロ落としたらしい。モチベーションは、バッチリのようである。

 

高速をトばし・・・いや、ボチボチと走り、初日の目的地である、道の駅『信濃町』に着いたのは、午前4時頃だった。
それから、苦労してコンビニを探し、翌朝の朝食と昼食を購入後、仮眠。
かなりの積雪。あたりは、もう白銀の世界である。
外気温は、どんなモンだろう・・・?
一つ確実に言えたのは、ディフェンダーのヒーターの効きは、著しく悪かった・・・と言うことである。
アイドリングなんかでは、とても室温は上がらない。
寒いです。(笑)

何とか夜を明かし(といっても3時間ほどだが)、 7時に起床。
車中でバーナーをつけ湯を沸かし、飯を食ったりしていると、ゾロゾロをそれらしき車が集まってきた。
集まりきった所で、なんとなく皆さん集合し、メンバーの確認が済んだところで、出発。

本日は、去年も一度お世話になった白馬のアウトドアショップ、ラッピーさんのツアーである。
だが、現在の場所は白馬ではなく信越。
で、今ツアーのHPでの謳い文句は、『ディープスノー、オーバーヘッド』である。
『オーバーヘッド・・・』
要するに、もの凄い雪・・って事である。
信越は、白馬よりもさらに豪雪エリアなのだ。

ゲレンデ駐車場に到着。
天候は曇り時々雪。というか雪。
視界は、まあ、良好だが、雪面は、昨日から降り積もった雪との間にけっこうな弱層があるらしい。
結果、当初の妙高杉の原国際スキー場のゲレンデトップから妙高山のお鉢の方へ向かうロングツアーの予定は変更され、赤倉スキー場のトップから前山の方へ向かう事になった。
まあ、バックカントリーのツアーでは、よくある話。
恐らく、今日の雪崩指数はかなり高いに違いない。
安全第一である。
ゲレンデの送迎バスに分乗し、リフト乗り場まで。
さあ登るぜ〜!今年のバックカントリー初めだ〜!!

と勢い込んだところで、いきなり、腰を折るような重大問題発覚。
何と、昨晩買った本日の昼食を、すっかり車の中に忘れてきてしまっていたのである。
不覚・・・。
非常食はあるが、それだけでは少々心許ない。
バックカントリーでの昼食は、各自休憩時に勝手に摂るのが普通である。
まあ、お天気が良ければ、みんなでランチという時もあるが、特にラッピーさんのツアーは体育会系なので、皆さん、休憩時に寡黙にパンなんかを囓るのが、ほとんどである。
まあ、こんな吹雪の中で、腰まで雪に埋もれながら車座になって飯を食っても、なかなか楽しいモンでもないだろうしな。
というか、それ以前の問題である。

雪山で食糧が無い → 遭難。(笑)

いやまあ、遭難はともかくとして、このハードな環境で、ひもじいのはイヤだよなぁ・・・。

ふと下手を見ると、ロッジが一軒。
行ってみると、準備中だったが、中には人の気配があった。
電源の入っていない自動ドアを無理矢理こじ開け、中のおねーさんに『あのぅ・・このチョコレート、売ってもらえませんやろか?』と。
怪訝な顔をされつつも、板チョコとポッキーをゲットし、とりあえず急場を凌ぐ態勢は確保。さあ、気を取り直して、妙高山にエントリーである。

リフトで、ゲレンデ最上部まで登り、スノーシューを履き、ビーコンチェック。
本日のパーティーの面々は、スキーが3、スノーボードが2くらいの割合。計15名ほど。
中には、見覚えのある顔もある。
あそこに見えるオジサン(50〜60歳?)は、去年、ブルークリフさんのツアーで一緒になった静岡の豆腐屋のご主人だ。
マイナーな世界だけに、狭いのだ。

シールを貼ったスキー組を先頭に、スノーシューのボード組が後に続く。
新雪の上では、スキーの方が、ずいぶん楽らしい。(あまり斜面が急だとダメらしいが。)
僕的には、パウダーでの楽しさは、ボードの方が上だと思うが、雪山ツアーの足としては、どうしてもスキーの方に軍配が上がるようだ。
ツリーランでも、ブッシュが濃くなると、スキーの方が有利そうだしな。
いずれ、山スキーもやってみたい・・・もんだよなぁ。(←こうやって、また、趣味(道具)が増えてゆく・・・(笑))

順調に高度を稼ぐ。
登り始める前は、体力的な不安をもらしていたポル氏も、まだまだ快調である。

しかし、サスガは日本有数の豪雪地帯。
進むにつれ、信越の深雪は、徐々に我々の行く手を阻む。
雪崩の危険を最小限に押さえるため、一人ずつ通過するポイントが増え、停滞する時間が増え、ついに、出発して1時間ほどした急斜面で、進行は、ピタリと止まってしまった。
後方から見たところ、急斜面とはいえど、まあ、普段は、どうって事は無い場所なのだろうが、新雪なので、思った以上に登りにくそうだ。
雪が安定していれば、巻いて行くことも可能なのだろうが、この状況での雪庇下のトラバースは危険極まりない。
ガイドが先に登り、ロープで確保。
パウダーの滑りは慣れていても、皆さん、登山がもの凄く上手いわけではない。
パーティには女性もいて、かなり苦労されている様子を、僕らは後方から凍えながら見つめる。

結局、ここを全員通過するのに、1時間以上もかかってしまった。
さらに登り切った所で、ガイドから、『これ以上上には行かない方がよい。』との決定が・・・。(涙)

しかしまあ、しょうがない。
「勇気ある撤退」これも、バックカントリーの醍醐味である。
バックカントリーは、大人の遊びなのだ。
これを笑って受け入れられてこそ、真のバックカントリーマンなのである。
(真のバックカントリーマンは、決して、昼食を忘れたりはしない。(笑))

 

さて、気を取り直して、ドロップ。
2時間以上かけて稼いだ高度が、1分ほどで終了。
しかもトラバース気味の斜滑降なので、なんか、移動して降りてきただけ・・・ってな感じだ。(苦笑)
そこから後は、ゲレンデ脇の林間エリア(一応、滑走禁止区域ではない。)をツリーラン。
ブッシュがけっこう濃いので、スピードが上げられない。
雪は激深なのだが、斜面が緩く、オーバーヘッドのスプレーが上がるほどでもない。

こういう激深雪の時に一番大変なのは、転んだり止まったりした時である。
パウダーの上に乗っている。とは、まるで綿の上に乗っているような状態。
手を突いても、何の抵抗もなくサクッっと沈んでしまうので、転んだら、まず、板を外さないと起きあがれない。
というか、雪の中に立体的に埋もれてしまっているので、足を固定した状態では、起きあがるのも不可能なのである。
そして、板を外し、雪面に足を置いた途端、その足はズボリと埋まり、腰まで雪に埋もれてしまうのだ。
こうなると、また、今度は、板を装着するのが厄介である。
なんせ、腰の位置にあるボードに乗らなければならないのだ。
もしこれが、急斜面なら、まだ話は楽だ。
足場を固めても谷側に滑り出せる斜面が残る。
しかし、緩斜面だと、足場を固めて何とかボードを履いても、すでにそこは自分で踏み固めた盆地になっていて、どこにも滑り出せる斜面がないのである。
スキーなら、まだ歩けるしストックもあるので、そこから脱出するすべはある。
しかし、ボードはこうなると、もうお手上げなのだ。
これは、止まってしまった時も、ほぼ同様である。
そして、こうなると、もうとにかく、もの凄く体力を消耗するのだ。
つまり、バックカントリーでは、転んではいけない。止まってはいけない。
コレ基本。 (止まるときは、滑り出せる斜面を確保して止まる。)

なので、深雪の緩斜面を滑るときは、止まってしまう恐怖との戦いでもあるのである。

ポル氏が、かなり苦戦しているようだ。
何だかんだ言っても、彼は本格的バックカントリーツアーは初体験。
ゲレンデでは僕より数段上のパフォーマンスを発揮する彼でも、なかなか勝手が違う様子である。
もしかしたら、ニューボードのポジションが合ってないのかもしれないが、けっこう転んでいるようだ。
ガイドを従えて、最後に滑って合流してくる彼は、いつも雪まみれ。
そして、「止まる」恐怖(というか、実際スピードが乗ってないと止まってしまう)から、どうしても、斜面のある方に流れて、降りてはいけない谷の方へ行ってしまい、最後は、ボードを外し、一人、腰〜胸まで雪に埋もれながら斜面をラッセルして、みんなの所まで登って来ねばならない。
みんなを待たしているので、さらに気も焦るだろう。

そりゃ、しんどかろうて・・・。

結局、この一本を滑り降り、も一本、別のルートを登り返す事が決定した時、ポル氏は、「一人車に戻り、皆の帰りを待つ。」という選択をした。
同時に、静岡の豆腐屋のご主人も、2本目は行かないとの事。
無理はしない。
バックカントリーは大人の遊びなのだ。

滑り足りない僕は、一応、リタイヤのポル氏に申し訳なく思いつつも、二本目にエントリー。
ポル氏に車のキーを渡し、ゲレンデ上部に向かうリフトに乗った。

 

ゲレンデトップから、今度は、さっきより少し南の斜面を登る。
雪の状態が明確にわかった上でのコース選択なので、今度はサクサクと高度を稼ぐ。
さっきよりも少し上の辺りまで登ったところで、ドロップ。

斜面は一本目と同じくらいか。
今日のコンディションでは、コレより急だと危険だという事だろう。
しかし、ブッシュは一本目よりも少ないので、もう少し楽しめそうだ。

『右側の谷には決して降りないように』との指示を気にしつつ、一気にボトムまで。
いやぁ、やっと楽しいパウダーにありつきましたなぁ〜。

最後はへろへろになりつつ、ゲレンデを滑り降り、下山。
ポル氏と合流し、ツアーメンバーと別れを告げ、今夜の宿、白馬に向けて出発した。

 

高速をトバし、峠を越えて白馬へ向かう。
今夜の宿は『オーベルジュ・ド・ユキモク』。 白馬みそらの地区にある、ペンションである。
ラッピーさんのHPでは、「ディナーをメインに楽しむ宿」とあった。

最初、この宿を決めるにあたった時、「オッサン二人旅なのに、ペンションかよ!?」と、いささかそういういう気もあった。
が、HPを覗いてみると、さすがは『オーベルジュ』を語るだけあって、メシはかなりウマソー。
『とにかく、旨いモンを食うこと』これが旅のモチベーションの半分以上を占めている美食家(爆笑)の僕にとって、やはり晩メシは最重要事項である。
そしてさらにオーベルジュ・ド・ユキモクさんのHPには、オーナー夫妻の多彩な趣味がてんこ盛り。
車は、一人でバラして組み立てられるほどのミニフリークであり、MTBは自分でフレームを溶接する、フレームビルダーであり、スノーボードは、バリバリのバックカントリーマンでバートンに関してもかなり造詣が深いらしい。等々。
これは話が合いそうだ。と。
『ディナーは19時から』と、きっちり決まっていたのも、なかなかに気に入った。
シェフが一人で切り盛りしていると、バラバラにベストなタイミングで食事を出すのは難しい。
つまり、裏を返せば、出来たての旨い料理が、バッチリ期待できるというわけである。

と言うわけで、つまり本日は、何としても19時までに宿に着かねばならなかった。
予約の時に、少し遅れるかも?な話をしたら、すまなそうに『じゃあ、お食事は無しにしときましょうか・・・』という話も出たくらい、時間厳守なのである。
『バックカントリーで下山の時間が確定できないんです。』と事情を説明し『下山したらすぐに電話しますから〜。』と、何とか晩飯は確保していたのだが、それも、19時までに着かねば、意味がなかった。

頑張った甲斐あって、何とか、19時に15分前に宿到着。
ビールを美味くするために、急いで風呂に入り、きっちり19時。お待ちかねの夕食である。

で・・・・・

激ウマでした・・・。
左上から、前菜、舌平目、鴨、デザート。
4ヶ月も経つと、調理法等は忘れてしまったが、とにかく、激ウマ。
ぶっちゃけ、白馬でこんな旨いフレンチにであえるとは〜って感じである。
いや、他と比較できるほど、僕のフランス料理の経験値は高いわけではないので、あまり偉そうな事は言えないが、でもいいのだ。
ここは僕の日記だ。
旨いモンを旨いと言って、何が悪い。(笑)
(後でわかった事だが、実はココのシェフ、ちゃんとフランスで修行もしてきた本格派でした。どうりで。)

実は、今日まで僕は、心のどこかで、ペンションのフランス料理を信用してはいなかった。
言っちゃあ悪いが、ペンションとは、『素人→脱サラ→オーナーの独りよがりで中途半端な技術とサービス。』こういうモンだと思っていた。
いや、ここはペンションではないか。
『オーベルジュ(宿泊のできるレストラン)』ですからな。

とにかく、ここ『オーベルジュ・ド・ユキモク』の料理は、すばらしかった。
残念ながら僕はワインを嗜む習慣がないというか技術がないので、ワインのことはよくわからなかったが、ビールも美味しかったなぁ。(ハーフアンドハーフとかもしてもらいました。)

 

感激の食事を終え、一息ついたところで、オーナーシェフのマスターに(何て呼べばいいんだか(笑))お願いして、ポル氏が、バートンの板の、バックカントリーなセッティングの指南を受ける。
バートンとは、スノーボードのパイオニア的ブランドで、未だに、人気、実力とも、他のメーカーとは一線を画しているメーカーであり、
セッティングも独特。
しかし、マスターは生粋のバートンフリークだけあって、ウンチクから、経験に裏打ちされたバックカントリーのセッティングやワクシングの事まで、珠玉のアドバイスを多数いただいた。
やはり、このマスター、タダモノではないです。
きっとこれで、ポル氏も、明日のツアーは大丈夫に違いない。

明日に向け、小ぎれいなカワイイ部屋で就寝。(笑)
これで一泊9000円弱。(ビールは除く)
上品な奥さんと、意外と気さくなシェフ兼マスターが、極上でアットホームな一時を提供してくれます。
皆さんも、白馬にお越しの際は、是非!!

 

 

翌朝、6時半起床。
前日ほとんど寝ていなかったというのもあり、かなりぐっすり熟睡。
美しい朝食を摂り、ユキモクの皆様に別れを告げ、本日のツアーの集合地点へ向かった。

本日のツアーは、ブルークリフさん。
ルートは、栂池スキー場〜鵯峰〜黒川沢〜白馬乗鞍スキー場。

ブルークリフさんのツアーは、どこに行くかが、いつも前日に決まる。
だいたい前日の夕方7時頃に携帯で連絡を取り合い、翌日の集合場所等を聞くのだが、昨日は、22時頃になるまで、なかなか連絡がつかなかった。
聞くと、昨日のツアーで、帰りのルートをロストし、山から降りてきたのが18時頃だったそうだ。
いや、遭難とかそういう話ではない。
道も道標も無い雪山を地図と経験を頼りに歩くのである。たまにはそういう事もある。
というか、最近は、マスコミのせいもあると思うが、一日やそこら下山が遅れたからといって、皆さん騒ぎすぎ。
基本的には、山にはいるときは、最低でも、一泊ビバークできるくらいの装備は持っていくモンであり、夜になれば動かないのが鉄則。
一泊下山が遅れることなど、想定内の出来事なのである。
というか、最近中高年の登山者が増え、携帯の普及も手伝って、大したこともないのに(本人は一大事と思っているのだろうが)、すぐに携帯で救助を呼ぶので、ちょっと困りものだ・・・という話も聞いた事がある。(いや、中高年に限ったことでは無いかもだな。)
皆さん、山にはいるときは、それなりの装備と覚悟と技術を身につけてから入りましょう。

なんだか、話が逸れたな。
要するに、昨日の雪は、やはり大変だった・・という話。(笑)

 

コンビニで昼食を購入し、栂池スキー場の無料駐車場へ。
ゴンドラとリフトで、ゲレンデ最上部へ。
最近、バックカントリーに入る人が増えたためか、ゲレンデ最上部にはロープが張られ、ゲレンデ外の滑走に注意を促す看板が立っていた。
かまわずくぐり抜け、素早くスノノーシューを装着、ビーコンチェックを済まし、我々は山の中に入った。

ゲレンデ側とバックカントリー側では、求めるモノや利害がかなり違い、お互いの関係は微妙である。
僕らは、リフトはお金を払って利用させてもらっているが、ゲレンデは使っていない。
あくまで、自己責任で山に入り、自己責任で楽しんでいるので、それをとやかく言われるのは、ハッキリ言って心外である。
一方ゲレンデ側は、そんな事を言われても、結局自分とこの裏山で遭難や雪崩(スキーヤーやボーダーが雪崩を誘発する場合はある。ま、そんな所は、ほっといても雪崩が頻発するところではあるが。)が起きれば、結局、救助にあたるのは自分たちであり、マスコミやよくわかっていないお偉方に、ゲレンデの管理責任などと、筋違いの事を追求されかねない。
最近は、ボード系の雑誌やビーパルなんかでも、バックカントリーの特集が組まれたりで、徐々にバックカントリーの人気は上がりつつあるようだ。
実際、それに伴い、よくわかっていないヤツが、平気で雪崩を誘発するような事をしたり、貧弱な装備でバックカントリーに入り、遭難騒ぎも起きていると聞く。
そんな中、ニセコでは、地元のスキーヤーやボーダーが、ニセコバックカントリーのローカルルールを作り、皆がそれに従うよう、活動をしているらしい。
まあこれも、微妙な問題で、自由を愛するバックカントリーマンには賛否両論であるが、地元の人が、自分たちのフィールドを守ろうと頑張っているのは、よくわかる。(ちょっと何かあればすぐに柵をして立入禁止にしてしまう日本のお国柄ゆえに。)
そういえば、今回も途中、ソロのボーダーに出会った。
20才そこそこの若者だったと思うが、とてもバックカントリーに入る出で立ちではなかった。
ウエアはゲレンデ仕様。
一応スノーシューは履いているが、ザックにはボードが取りつけられず、手でもって、もの凄くしんどそうに歩いていた。
見るからに危なっかしい。
恐らく、ビーコンやプローブ、ショベル、いや、地図すらも持っていまい。
というか、持っていても読めないに違いない。
今日は天気がいいから、僕らのようなツアーが付けたトレースを辿れば、おいしいコースにタダでありつけるし、迷うこともない・・・といえばそうだが、もし天気が悪化し、ひとたび吹雪になれば、踏み後なんか、5分で消えてしまうのだ。
こういう輩がバックカントリーをウロウロしているのを見ると、やはり『ローカル・ルール』もやむを得ないのか・・・とも思ってしまうよなぁ。
死ぬのは勝手だが、そのせいで、僕らのこの素晴らしい遊びに、変な圧力がかかるのだけは、勘弁願いたいものである。
キツイ事を言うようだが、ぶっちゃけ、そういう事だ。
バックカントリーにおいて、自己責任とは、十分な体力と知識と装備を持ち合わせた人のみに許される言葉であると思う。

あ、また、説教臭くなってしまった。イカンイカン。(笑)

 

天気は、昨日とは打って代わって、晴天。
少し林の中に入り落ち着いたところで、皆さん自己紹介タイム。
本日のガイドは、高木氏と佐藤氏。ツアーのメンツは、計9名。(ガイド含む)

稜線の雪は、風で飛ばされ、固く締まり歩きやすかった。
順調に高度を稼ぎ、10時半頃には、鵯峰の手前のピークに着いた。

素早くピットチェックがなされ、本日のこの斜面は、滑走OKの判断。
視界、斜度、雪質共に申し分無い。
皆でジャンケンをして、滑走順を決める。(笑)
最初にガイドの佐藤氏が滑り、下でビデオカメラを構える。
僕は3番目だ。

ドロップ。

ヒャッホ〜!!!と、自分に気合いを入れ、まず、最初のターン。
漆喰のような純白で真っ平らな雪面を、音もなく、ボードが切り裂いていく。
視界には入っていないが、後方にはには派手なスプレーが上がっているのがわかる。
2ターン、3ターン・・・スピードが上がると同時に、どんどんボードが浮き上がってくる。
ターンで踏み込むと身体は雪中に沈みこむ。そして抜重と共にそこから一気に空中に飛び出す。
この立体的動きが、パウダーランの最大の魅力だ。
実際の僕は、そこまで華麗には滑れていないような気もするが・・・。(笑)

な〜んて言ってる間に、ビデオカメラの所まで。
数人が滑った後、続いてポル氏。

おお〜っ。
昨日のポジション変更が功を奏したか、かなりエエ感じである。
(写真右は、高木ガイド、左は不明。)

続いて二本目。
もうポル氏は、かなり感覚を掴んだようで、当て込みなんかも披露している。
昨日と違って、このコンディションなら、攻めて転ぶのは全然アリ。
僕も、身につけているモノが全て吹っ飛んでいくような大コケ一回。(笑)
どんだけ滑っても疲れない、どんなにハデに転んでも痛くない。
う〜ん。パウダーは素晴らしい〜!

ボトムまで降りきったところから少し登り、昼食。
ブルークリフさんのツアーは、わりとスケジュールに余裕があり、少人数。
アットホームな感じなので、こうして、みんなで昼食を摂る事も多い。
しかもこの晴天。最高のランチタイムである。
こんな時間の、ガイドや皆さんとの交流もまた、こういうツアーの楽しいところである。

昼食を終え、再出発。
もう一本滑るべく、スノーシューを履いて、今度は、親沢の一つ北の稜線を目指す。
後方には、さっき滑り降りた鵯峰の北斜面が見える。
ここから見ると、よくあんな斜面を降りたなぁ・・・と。(写真右の、左側の一番高く見える所が、たぶんドロップ地点。そこから右下に向けて二本平行して黒い筋が見えると思うが、その間の谷を降りてきたはずである。)

先頭をローテーションしながら、登る。(雪山は、後ろを歩けば歩くほど、楽なのだ。ちなみに、先頭を歩くことを『ラッセルする』という。)
何と、ポル氏も、自ら進んでラッセル。
昨日、途中でリタイヤした彼は、もういない。
滑りが変われば、ここまで変わるのである。
ありがとう『ユキモク』のマスター。

順調に高度を稼ぎ、次のドロップポイントへ。
ここも美味しそうな斜面である。
山頂部は風で叩かれ、若干固かったが、その下は、激深、激パウのツリーラン。
ボトム打ち感、まるで無し。
まさに、音もなく、飛んでいるような感じ。

来てよかった・・・っす。

後半、黒川沢に合流するところで、岩を回避したら、その向こうにあったデカい穴に落ち、あわや、雪下の沢にハマってしまいそうになった・・・なんてハプニングもあったが、(板を外せば自力で脱出できる程度で、まあ、騒ぐほどではなかった・・・騒いだけど。(笑))順調にボトムまで。

そして、お約束のストック登場。
疲れた身体にむち打って、 緩斜面を汗水垂らしながら、下降。
鉄骨の砂防ダムのようなヤツの下を潜り、最後は林道を延々と滑り、乗鞍スキー場へ出た。

みんなで、今日の労をねぎらい、解散。
西宮を目指し、帰路についた。

 

いやいや、お疲れさまでした。
雪も天気も最高でしたな〜。
絶好調だったポル氏も、今日ですっかりバックカントリーに自信が持てた様子。
残りの今シーズンが楽しみっす。

さて、今年もバックカントリー三昧しまっせ〜。

 

 

 

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